衆妙の門

できるだけ、日常に沿った具体的な易などの運用を記していこうと思っています。

徳の教え(61)道徳経下篇・徳経(24)

 

謙徳(けんとく)第六十一と言う副題がついています。

 

謙譲の美徳とでも言いましょうか。

 

ここも国を人の心身に読み替えます。

 

心が人の全てを動かす。

 

その人自身の葛藤、人との交流による感情の抑揚、全ては心の裁量による。

 

そこは人体の陰の地である。心は陽であるからこそ、いる場所は陰。

 

静かにたたずんでいるからこそ、いざという時に様々な事態に対処できます。

 

内臓の中では高い位置にあるからこそ、静かにしていれば他の臓も従います。

 

他の臓や骨格、筋肉は心の一部として働きたいだけであり、心も全てが交流し、実現する場所としてそれぞれの役割を果たすだけ。

 

このように考えると、やはり心は無駄な欲をそぎ落とし、本当に必要な欲だけを十全に発揮すれば叶わない事はないのである。

 

【直訳】

大国は下流なり。天下の交(こう)なり。天下の牝(ひん)なり。牝は常に静をもって牡(ぼ)に勝つ。静をもって下となればなり。故に大国もって小国に下れば、すなわち小国を取る。小国もって大国に下れば、すなわち大国に取らる。故にあるいは下りてもって取り、あるいは下りて取らる。大国は人を兼ね畜(やしな)わんと欲するに過ぎず、小国は入りて人に事(つか)えんと欲するに過ぎず。それ両者はおのおのその欲するところを得。大なる者はよろしく下となすべし。

 

 

【原文】
大國者下流。天下之交、天下之牝。牝常以靜勝牡。以靜爲下。故大國以下小國、則取小國。小國以下大國、則取大國。故或下以取、或下而取。大國不過欲兼畜人、小國不過欲入事人。夫兩者各得其所欲。大者宜爲下。