言葉を繋ぐ(14)-12
【直訳】
古(いにしえ)の葬る者は、厚くこれに衣(き)するに薪(しん)をもってし、これを中野に葬り、封(ほう)せず樹(じゅ)せず、喪期(そうき)数なし。後世の聖人これに易うるに棺椁(かんかく)をもってするは、蓋しこれを大過に取る。
【原文】
古之葬者、厚衣之以薪、葬之中野、不封不樹、喪期无數。後世聖人易之以棺槨、蓋取諸大過。
【私的翻訳】
昔の葬式は薪を厚く乗せ、野の中で葬り、盛り土をせず、木を植えることもせず、喪(も)の期間も定まっていなかった。後世の聖人はこれを変えてひつぎ(内棺と外棺)を使って葬式をする。このような状態を沢風大過という卦に集約している。
【解釈】
生活に関する文明の発展から、冠婚葬祭に関する文明の発展の話となっています。
沢風大過は、小さな水の下で大きなエネルギーが変化を起こそうとしていますが、
この原文は敢えて葬式を主題としています。つまり、人生の中で必ず起こる親類縁者の死。このような小さな災い(水)によって心は大きく哀しみ、辛くなる状態ですが、
文明の発展によって、大切に葬り、直接見なくて良いように柩を使う事によって、
この困難に心の動揺を起こさず、前を向いて進んでいく事を沢風大過の卦であらわしているのでしょう。
本卦:沢風大過
之卦:沢天夬、沢山咸、沢水困、水風井、雷風恒、天風姤
互卦:乾為天
錯卦:山雷頥
綜卦:沢風大過
となっています。
つまり、小さな困難に心が動揺するような時は、
心を安寧にして、焦って行動しないこと。特に遠くへ行くような事は注意。
同じような立場にいる人と共感を得やすい。
抜けられない困難に心が折れそうになる。
死や困難は誰にでも訪れるものなので、しっかりと見つめ、考え自分の能力を
使う、或いはコツコツと努力を続ける。
無闇に動揺せず、いつもと同じように行動する。
一人との別れが、新しい人との出会いになる、或いはこの困難が新しい
チャンスを導いてくれる。
といった、方向があります。
これに対して、色々な人への対応や困難への対処で心身ともに大変なのが現状なので、
周囲の人の意見を聞いて、尊重しながら問題に対処する事が最善です。
不用意な言動や乱れた生活に意識を置いておくべきで、
周囲の人は、この難局をどう打開していくのかを注視しています。