衆妙の門

できるだけ、日常に沿った具体的な易などの運用を記していこうと思っています。

徳の教え(69)道徳経下篇・徳経(32)

玄用(げんよう)第六十九と言う副題がついています。

 

兵法には後の先と言う言葉があります。

 

意識はつけておきますが、軸をぶらさず待つ事。懸待一致(けんたいいっち)、懸待表裏。

 

ここでは更に引く事を伝えています。

 

懸待一致はまだ戦う意志がある為、自軍の兵は疲弊していきますが、引けば兵は休め、次の戦いに備える事ができます。

 

以下、鳳凰堂流解釈

 

兵法には「こちらが主とならず客となり、少し進むより大きく退いてみる」と言う言葉がある。

 

これを行うと、相手は空振りし、思った以上に疲労、浪費する。

 

敵の力量を軽く見ることが1番の害であり、軽んじることは三宝(慈愛、謙譲、拙速に事を進めない)を無視している事に繋がる。

 

特に互いに疲労している時は、引いた方が必ず勝つ。

 

【直訳】

用兵に言あり、「われあえて主とならずして客となり、あえて寸を進まずして尺を退く」と。これを無行を行き、無臂(むひ)を攘(ふる)い、無敵を扔つき、無兵を執ると謂う。禍は敵を軽んずるより大なるはなし。敵を軽んずればほとんどわが宝を喪(うしな)う。故に兵を抗(あ)げて相加うるときは、哀しむ者勝つ。

 

【原文】
用兵有言、吾不敢爲主而爲客、不敢進寸而退尺。是謂行無行、攘無臂、扔無敵、執無兵。禍莫大於輕敵、輕敵幾喪吾寳。故抗兵相加、哀者勝矣。