衆妙の門

できるだけ、日常に沿った具体的な易などの運用を記していこうと思っています。

言葉を繋ぐ(17)-6

【直訳】

子曰く、小人(しょうじん)は不仁(ふじん)を恥(は)じず、不義を畏(おそ)れず、利を見ざれば勧(すす)まず、威(おど)さざれば懲(こ)りず。小しく懲らして大いに誡(いまし)むるは、これ小人の福(さいわい)なり。

 

易に曰く、校(かせ)を履(は)いて趾(あし)を滅(やぶ)る、咎なし、と。これの謂いなり。

 

【原文】

子曰。小人不恥不仁。不畏不義。不見利不勸。不威不懲。小懲而大誡、此小人之福也。易曰。履校滅趾。无咎。此之謂也。

 

【私的解釈】
 孔子は次のように言っています。

 

小人は不仁を恥とせず、不義を恐れず、利益がなければ進まず、脅さなければ懲りない。

 

少し懲らしめ大いに誡めることは、これが小人にとって幸いとなる。

 

易には次のように書いています。足枷(かせ)を履いて趾を使えなくなるが咎はない、と。こう言う様な状況のことをいうのである、と。

 

易の引用から孔子の解釈と言う流れでしたが、今回は孔子の言葉から易を引用しています。綜卦ですね。

 

そして易に書かれている「履校滅趾。无咎。」と言う字句は火雷噬嗑の初爻をあらわしています。

 

火雷噬嗑は(14)ー4に書きました。

 

エネルギーはあるので、益々良いことを進めていくというのが、大成卦の私の解釈となります。

 

 この大きな枠組みの中でも初爻の更にそれを進めていくという項目に当たります。

乾坤を太極とすると、乾中の乾、乾の五爻になる為かなり注意が必要です。

 

 自分が誰かを引っ張っていくエネルギーがあり、それが順当に進んでいるのであれば

その枠組から外れようとしている人、物事に対してはしっかりと制限をしたり、枠組を守るように諭したりする必要がある時です。

 

 社会や身体と言う小さな太極を守る事で、自分の心や他者の心を守り、しいては自然環境と言う大きな太極の変化に影響します。

 

そして、大きな太極が規則的に動けば、社会や身体もまた安定して変化します。

 

これを妄りに乱す人(身体では邪気や歪み等)には乾の力で、導いたり、叱責する事(身体では泻法)も時には大切です。

 

小さな子供には、特に文化や社会におけるしきたりや作法を教えるときは時に厳しさも必要ですし、身体では痛みが治まらない場合には泻法(一概には言えませんが)が必要になります。

 

そして孔子は五行(五常)の中の仁と義の大切さを唱えています。

 

 五行の始まりであり陽の部分だからだと考えます。