言葉を繋ぐ(19)-3
【直訳】
履はもって行ないを和す。謙はもって礼を制す。復はもってみずから知る。恒はもって徳を一にす。損はもって害に遠ざかる。益はもって利を興す。困はもって怨(うら)みを寡(すくな)くす。井はもって義を弁ず。巽はもって権を行なう。
【原文】
履以和行。謙以制禮。復以自知。恆以一德。損以遠害。益以興利。困以寡怨。井以辯義。巽以行權。
【私的解釈】
天沢履の心を持っていれば行動が和らげられる。地山謙の心を持っていれば礼儀が通じる。地雷復の心を持っていれば自分を省みることができる。雷風恒の心を持っていれば言動、行動による徳が1つの目的に集約される。山沢損の心を持っていれば損なう事から逆に遠ざかる。風雷益の心を持っていれば様々な事が大きな役に立つ。沢水困の心を持っていれば恨まれることが少なくなる。風水井の心を持っていれば道理が明らかになる。巽為風の心を持っていれば臨機応変に対処出来るようになる。
天沢履 [陽陽陰陽陽陽]は徳の土台となって、調和する事を主眼として、影で積んでいくことでその心が叶い、行動がプラスに働く。
地山謙 [陰陰陽陰陰陰]は徳を使える時期を計る為に、謙虚な心を忘れず行動する事で、力を発揮できる時期(天運)が巡ってくるのを待っている。
地雷復 [陽陰陰陰陰陰]は今までの陰徳の積み重ねから、力を発揮できる時期に来ているが、それでもまだ謙虚な気持ちを持ち少しずつ動かしている。
雷風恒 [陰陽陽陽陰陰]は力が発揮できているからこそ、目的を再認識して心新たにする。
山沢損 [陽陽陰陰陰陽]は発揮できている力を更に精錬させるために、自分なりに整理する。
風雷益 [陽陰陰陰陽陽]は発揮した力があらゆるものに影響することで、山沢損で損なった利益すらも還ってくる。
沢水困 [陰陽陰陽陽陰]は一人力を発揮する事によって羨まれたり、逆恨みされたりする事をも超越する。
風水井 [陰陽陰陰陽陽]は上記までの意識と経験が積み重なり、徳、易の道理を習得する。
巽為風 [陰陽陽陰陽陽]は徳や易の道理として太極ができた上で、自由に行動、言動を行う事ができる。
解釈は粗くなっていますが、(19)は9種の卦を使って、あらゆる事象の構造、
流れ、心持ちに対して書いているように感じるので、徳と易の道理として再解釈してみました。