言葉を繋ぐ(17)-13
【直訳】
子曰く、君子はその身を安くして後に動き、その心を易(やす)くして後に語り、その交(まじ)わりを定めて後に求む。君子はこの三者を修(おさ)む、故に全(まった)きなり。危くしてもって動けば、民与(くみ)せざるなり。懼れてもって語れば、民応ぜざるなり。交わりなくして求むれば、民与せざるなり。これに与することなければ、これを傷(やぶ)る者至るなり。
易に曰く、これを益することなし、あるいはこれを撃つ、心を立つること恒(つね)なし。凶、と。
【原文】
子曰。君子安其身而後動。易其心而後語。定其交而後求。君子脩此三者。故全也。危以動。則民不與也。懼以語。則民不應也。无交而求。則民不與也。莫之與。則傷之者至矣。
易曰。莫益之。或撃之。立心勿恆。凶。
【私的解釈】
孔子は次のように言っています。君子は自分の身を安定させてから動き、自分の心を平常にしてから語り、相手との関係性が定まってから求める。君子はこの三つのことを修めるからこそ物事を全うすることができる。危ういのに動くと、他の人を仲間にすることはできない。びくびくしながら語ると、人の心には訴えられない。交流がないのに自分の要求だけを求めると、人は与えてくれない。自分に与しないと思ってばかりいれば、いつか自分を傷つける者がやってくるに違いない。
易には次のように書かれています。これを益しない、あるいはこれを攻める、心の持ち方に恒がないからである。凶、と
風雷益 の上爻を引用しています。
本来利益を語るのが風雷益 です。上爻は陰陽転化する場所でもあるので、自分の利益ばかり考えていると上爻の陽爻が陰爻に反転する可能性を揶揄しています。
前回の流れから観ると、地雷复 → 山沢損 → 風雷益 という風に
陽気が一旦上下から増えて来た後、上の陽気に押されて下の陽気が風雷益で減ってしまっています。
ここから考えられるのは、自分のエネルギーがある時に、損を覚悟で周囲の幸せも願いながら進んでいかなければ最終的には益を損なうだろうという事でしょうか。
常に自分だけでなく、周囲の人、社会、国等も考えた上で、時に自分には損のように見えても、最終的にはその考え方と行動が益になる事が言いたいのだろうと考えています。