言葉を繋ぐ(17)-9
【直訳】
子曰く、徳薄くして位尊(たっと)く、知小にして謀(はかりごと)大に、力小にして任重ければ、及ばざること鮮(すくな)し。
易に曰く、鼎(かなえ)、足を折り、公の餗(そく)を覆(くつが)えす、その形渥(あく)たり、凶なり、と。その任に勝(た)えざるを言えるなり。
【原文】
子曰。德薄而位尊。知小而謀大。力小而任重。鮮不及矣。
易曰。鼎折足。覆公餗。其形渥。凶。言不勝其任也。
【私的解釈】
孔子は次のように言っています。徳が薄いのに地位が高い場合や智恵が小さいのに計画が大きい場合、力が小さいのに役目が重い場合、得てして力不足が目立つ、と。
易では次のように書いています。鼎(かなえ)の足を折ってしまって、目上の人へのご馳走をひっくりかえし、自分自身がずぶ濡れになってしまい凶である、と。その役目に耐えられないと言えるのである、と。
易では火風鼎 という卦の四爻を引用しています。
簡単に解釈すると、基礎力がなければ大切な場面で、大きな問題を起こしてしまい、自分に返ってくる、という事です。
孔子はこれを具体性を以て、
徳の薄さと地位の高さとのバランス。
智恵の小ささと計画の大きさとのバランス。
力量の小ささと役目の重さとのバランス。
という三点に展開しています。
火雷噬嗑 から天地否 、火風鼎 という流れで語られています。
上卦(外卦)は火または天である事から、エネルギーが外に溢れている事は概ね同じですが、下卦(内卦)は天地否 の 坤 という部分(下卦・内卦)を軸にして上下反転しています。
対外的には大きな役割、役目があったり、自分の外面としてはエネルギーに満ちているけれども、今からそのエネルギーを発揚していこうとしているのか、エネルギーがないのか、エネルギーが遊行し定まっていないのかの3種をこの(17)に書いているのだという視点を持って見ています。