言葉を繋ぐ(14)-13
【直訳】
上古は結縄(けつじょう)して治まる。後世の聖人これに易うるに書契(しょけい)をもってし、百官(ひゃくかん)もって治め、万民もって察(あきら)かなるは、蓋しこれを夬(かい)に取る。
【原文】
上古結繩而治、後世聖人易之以書契、百官以治、萬民以察、蓋取諸夬。
【私的翻訳】
遠い昔は、縄を結ぶ事だけで治まっていた。後世の聖人は文字と割符(わりふ)を使い、多くの役人がこれを契約として治め、多くの人々がそれで信頼を保障するようになった状態を、沢天夬という卦に集約している。
【解釈】
この辺の部分は不案内な箇所が多いですが、信頼と物物交換だった時代から、商の時代(一般的には殷の紂王で有名な時代)に貨幣経済が始まり、人々が使うことで経済が発展し、文明も更に開花していく過程を沢天夬という卦に当てています。
深掘りすると、文明が急速に発展する事で、本来信頼の下に行われていた物物交換が難しくなり、契約をする必要が出てきた事を指しているのだと考えています。
本卦:沢天夬
之卦:沢雷随、沢火革、兌為沢、水天需、雷天大壮、乾為天
互卦:乾為天
錯卦:山地剥
綜卦:天風姤
沢天夬という卦は、上記に描かれているように1つの陰爻の下に5つの陽爻があります。
たくさんの気によって勢いがあるのは確かですが、一番上に下降する気がある事に注意が必要です。
ここが陽に変わると、乾為天の1番上になります。全てがバラバラになると言う事です。
夬は口が分けられて区別されている、決壊等という意味を含んでいます。
凝縮してみると兌為沢となり、口の災いを暗示しています。
つまり、急速に何かの大きな変化が起きた時には、裏に何かが潜んでいる可能性が高く、
その変化に引っ張られながらも力を蓄えておく。
この変化をしっかりと見極める。
軽々しい言動をしたり、軽薄な勧誘に乗ってしまう。
変化を静観しつつチャンスを待つ。
変化に乗じて何かを成功しそうだが、しっかりと考えて行動する。
変化の勢いに押されすぎないようにすれば成功する。
という6方向への道があります。
大きなリスクや難問が隠れているので、呉々も注意しなければなりません。
周囲ではこの変化に乗じて誘惑したり、事故を起こしたりします。
とにかく、調子に乗らないよう、常に冷静に自分と周囲の事を考えていれば勢いは
ありますので万事うまくいきます。