言葉を繋ぐ(14)-3
【私的直訳】
包犠氏没して、神農(しんのう)氏作(おこ)る。木をきりて耜(し)と為し、木を揉(たわ)めて耒(らい)と為し、耒耨(らいどう)の利(り)、もって天下に教うるは、蓋(けだ)しこれを益(えき)に取る。
【原文】
包犠氏沒。神農氏作。斲木爲耜。揉木爲耒。耒耨之利。以教天下。蓋取諸益。
【解釈】
伏羲氏が亡くなると、神農氏が世の中を総べる存在となる。木を切ってすき(農具、頭)とし、木を曲げてすき(農具、柄)とし、鋤や鍬として役に立てる。このようにして天下万民に道具の作り方、使い方を教えることを風雷益として集約している。
三皇五帝の1人として数えられる伏羲氏の時代は海洋での漁が主体で、次の三皇五帝の1人とされる神農氏の時代は農耕主体に変わった事を考えると、東(倭)から平地を求めて内地へ移動したのではないか?とかいう妄想は置いておいて、
伏羲氏の時代は水からエネルギー(食物、外的火)を得る為に火(内的エネルギーの爆発)を用い、
神農氏の時代になると木(変化)を柔軟に用いることで、安定(陰陽調和)をもたらしたとも読める。
そこで出てきたのが、風雷益。
本卦が風雷益であれば、
之卦は、風地観、風沢中孚、風火家人、天雷无妄、山雷頤、水雷屯の6種。
互卦は、山地剥。
錯卦は雷風恒。
綜卦は山沢損。
何かを共同で行う事で大きな利益が得られる。
その利益は 後の為に考えて用途を厳粛に決めていけば周囲から尊敬される。
皆で力を合わせて大きな事に使えばより大きな事ができる。
新しい事をやるよりも、共同して行った人の中でうまく回す方が良い。
動機さえ正しければ使っても良いが、動機が不純なら悪い方へ向かう。
目的を定めて使う事で、自分を育て養う事ができる。
今は心乱れているので、正しく使える時が来るまで蓄えておく。
という、6種の流れ。
全てにおいて、その利益は進んで使うのではなく、吟味し周囲の意見を聞いて使うべき。
裏にはこの利益がずっと続く事を祈っている感情があり、
他人から見ると、せっかく得た利益を使わないのは勿体ない、或いはその人は
利益を得ているのに私は損していると思われている。