衆妙の門

できるだけ、日常に沿った具体的な易などの運用を記していこうと思っています。

言葉を繋ぐ(14)-11

 

【直訳】

上古(じょうこ)は穴居(けっきょ)して野処(やしょ)す。後世の聖人これに易(か)うるに宮室をもってし、棟(むなぎ)を上にし宇(のき)を下にし、もって風雨を待つは、蓋しこれを大壮に取る。

 

【原文】

上古穴居而野處後世聖人易之以宮室上棟下宇以待風雨蓋取諸大壯

 

【私的翻訳】
 遠い昔は穴に住み野にいたが、後世の聖人は、これを変えて家を持ち、棟木(屋根の上端)を上にして、のき(屋根の下端)を下にして、風雨をまち受けるようになった。このような状態を雷天大壮という卦に集約する。

 

【解釈】

 文明が発達する事は、人類のエネルギーが最大限に発揚された結果ではありますが、

文明の発達に反して、人類自体の智能や生命エネルギーは落ちます。

天の上に小さなエネルギーがあると言う事は、下にある天が上に行く、上にある雷が下に落ちる可能性を秘めています。

その為、このエネルギーの使い方次第で大きな落とし穴にハマる可能性がある時です。

うまくいっている事でも油断禁物という流れですね。

 

本卦が雷天大壮であれば、

 

之卦は雷風恒、雷火豊、雷沢帰妹、地天泰、沢天夬、火天大有の六種。

 

互卦は沢天夬。

 

錯卦は風地観。

 

綜卦は天山遯。

 

つまり、マイナス面を考慮しない程調子に乗っている時こそ

 

    初心を忘れず、現状維持する。

    このエネルギー盛んな状態はいつまでも続くものではないから、

    安定した状態をイメージして行動する。

    順序を無視して欲望に走りがちなので、最後には落とし穴に落ちる。

    しばらくは安泰。

    勢い余って災いが起こる。

    勢いで全てが手に入るが、運によるものだと自覚する。

 

という6方向に進みます。

 

基本的には、どんなに勢いがある時でも、自分を俯瞰し、冷静に観て未来に繋がる行動をするべきで、周りの人はその勢いに押されて遠間から見ているので、周囲と調和できれば、上記の地天泰や火天大有へ変化します。

言葉を繋ぐ(14)-10

【直訳】

木に弦(つる)して弧(ゆみ)と為し、木をけずりて矢と為し、弧矢(こし)の利、もって天下を威(おど)すは、蓋しこれをけいに取る。

 

【原文】

弦木為弧剡木為矢弧矢之利以威天下蓋取諸睽

 

 

【私的翻訳】
 木にツルを張って弓を作り、木を削って矢を作り、弓と矢を役に立てる事で、もって世間一般に威厳をひけらかす事を火沢睽に集約している。

 

【解釈】

(14)ー9は自然の力を借りて、自分の手で人の役に立つ事を成し遂げるという、

意識が主体となっていますが、ここではそれを攻撃の道具にしています。

 

本卦は、火沢睽。

 

之卦は、火水未済、火雷噬嗑、火天大有、山沢損、兌為沢、雷沢帰妹の6種。

 

互卦は、水火既済。

 

錯卦は、水山蹇。

 

綜卦は、風火家人。

 

つまり、自分の為に人を攻撃することで

 

    それが未来の相手の為であれば良いが、そうでなければただの攻撃として

    反撃をくらう。

    目には目をという態度で威嚇、攻撃する。

    相手の事を思った故の威嚇、攻撃だと言う事が天の徳として認識される。

    目先の怒りに捕らわれやすく、本当の攻撃だと認識される。

    力不足で威嚇、攻撃にならず、反撃を食らう。

    分を弁えず目先の怒りに囚われ問題となる。

 

解決には、今以上良い状況を求めず、その場を治める事。

 

裏には、威嚇、攻撃する事で沢山の問題が生まれる事が暗示され、

 

他人からは、協調性や結束力を意識しているのは分かるが、方法については

疑問視されています。

 

 

言葉を繋ぐ(14)-9

【直訳】

木を断(き)りて杵(きね)と為し、地を掘りて臼(うす)と為し、臼杵(きゅうしょ)の利、万民もって済(すく)うは、蓋しこれを小過に取る。

 

【原文】

斷木為杵掘地為臼臼杵之利萬民以濟蓋取諸小過

 

【私的翻訳】
 木を切って杵を作、地面を掘って臼として、この臼と杵を役にたてて、多くの人々を救う事を雷山小過に選びとる。

 

【解釈】

 自然の恵みを利用しながら、自分の努力を加える事で、様々な人に利益をもたらす事を雷山小過という卦に集約する。

 

本卦は、雷山小過。大きなハードルを意識しすぎず、小さな喜びに対してオーバーなくらい表現をする。

 

之卦は、雷火豊、雷風恒、雷地豫、地山謙、沢山咸、水山蹇。

 

互卦は、沢風大過

 

錯卦は、風沢中孚。

 

綜卦は、雷山小過。

 

つまり、あまり出過ぎた事をせず、盛り上げるときは盛り上げている姿。

 

    勢いや明るさが備わってくる。

    これを変えずに貫くことで自分のエネルギーがいつまでも充足する。

    自分自身も楽しく、何事もうまくいく。

    安定した信頼できる人柄と認識される。

    直観で物事をうまく運べる。

    出過ぎるか、影に潜みすぎて自分の居場所がなくなる。

 

という6方向へ進みます。

 

解決策としては、底力が試されているので当たって砕ける。

 

裏には、心を開いて誠意を持っている事を伝える事が大切な時。

 

他人からは、ありのままに見えているので、意識している事がばれている状態。

言葉を繋ぐ(14)-8

【直訳】

重門撃柝(ちょうもんげきたく)、もって暴客を待つは、蓋しこれを予(よ)に取る。

 

【原文】

重門撃柝。以待暴客。蓋取諸豫。


【意訳】 

門を重ねて拍子木を打つ、このようにしっかりと準備をして暴客をまち受ける事を雷地豫として集約する。

 

【解釈】

 本卦は雷地豫。準備でウキウキしているような状態です。但し、暴客を待ち受けている事は、難事も待ち構えている事を示しているので、注意が必要。

 

之卦は、震為雷、雷水解、雷山小過、坤為地、沢地萃、火地晋の六種。

 

互卦は、水山蹇。

 

錯卦は、風天小畜。

 

綜卦は、地山謙。

 

つまり、準備でウキウキしている状態から

 

    チョッとした驚くような事があるかもしれないので冷静にする時。

    問題が起きたら準備をしていた事でサッと解決する時。

    仲違いに注意しながら、ウキウキを押さえる時。

    絶対に先頭切って行動せず、ついて行く時。

    不慮の事故にさえ注意すれば、難客でも軽くあしらえる時。

 

あまりウキウキしすぎると、泥沼に足を取られて準備が台無しになるばかりか、

争いが収拾できなくなるおそれがあります。

 

裏には、準備はしているが、難事がタイミング悪く来る事が否定できない。

 

他の人からは、どっしりと構え、頼りがいがあるように見えます。

言葉を繋ぐ(14)-7

【直訳】

牛を服(ふく)し馬に乗り、重きを引き遠きを致して、もって天下を利するは、蓋しこれを随に取る。

 

【原文】

服牛乘馬引重致遠以利天下蓋取諸隨。

 

【私的翻訳】
 牛に車を付けて、馬に乗り、重いものを引いて、遠くまでいたれるようにして天下の役にたてるは、思うにこれを随に選びとる。

 

【解釈】

本卦は沢雷随。雷と言う大きなエネルギーを蓄えながら、上には小さな波が起こっています。

意図としては、小さな波に随う事で大きなエネルギーを妄りに毀損しないようにする事をあらわしています。

 

之卦は、沢地萃 、兌為沢、沢火革、水雷屯、震為雷、天雷无妄の6種。

 

互卦は風山漸。

 

錯卦は山風蠱。

 

綜卦も山風蠱。

 

つまり、準備はしっかりしているが、大変な時期は自分が敬っている人のアドバイスを素直に受けて進む時。

(心腎はしっかりしているが、肝有余脾不足の状態。)

 

本卦のレベルがどこにあるかで、

そこから、人が集まりエネルギーが上昇する。

                  まだエネルギーが充分でないので、

                   軽々しい言葉は慎む。

                   エネルギーが充足しているので大き    

                   な変革を行う。

                   エネルギーはあるが、今進めば大き

                   な苦難があるので誰かに任せる。

                   大きな事が起こるが、影響は小さい

                   ので驚かずに冷静に対処する。

                   自然の成り行きに任せ、小賢しいこ

                  とはしない。

 

という6種の方向へ行きます。

 

解決には、焦らず着実に、優先順位をこなしていく事。

 

表面上は良くても、裏はゴチャゴチャと問題が山積みされています。

 

他人からは、その山積みされた問題が見透かされています。

言葉を繋ぐ(14)ー6捕捉

本卦が風水渙であれば、

 

之卦は風沢中孚、風地観、巽為風、天水訟、山水蒙、坎為水の6方向。

 

互卦は山雷頥

 

錯卦は雷火豊

 

綜卦は水沢節

 

となります。

 

つまり、大変な思いをして頑張った結果、未来が開けようとしている時の事を指しています。水という危険の上に風が吹き始めて良い方向へ動きだす時。

 

この状態から どのような困難でも乗り越えられる。

       良い方向へ動き出すからこそ、周囲をしっかり観る。

       信念がないのでフラフラして危うい。

       争いや対立は避けられない。

       更に教養や学習を進め、良い人の指導を受ける。

       調子に乗ってしまい、どん底に落ちる。

という変化に分かれます。

 

解決策としては、不用意な言動や食生活を見直す事。

 

裏には未来が開け、物質、心共に豊かになる可能性を秘めています。

 

他人からは見苦しい言動が多いと見られています。

言葉を繋ぐ(14)-6

 

【直訳】
木を刳(く)りて舟と為し、木を剡(けず)りて楫(かじ)と為し、舟楫(しゅうしゅう)の利、もって通ぜざるを済(わた)し、遠きを致してもって天下を利するは、蓋しこれを渙(かん)に取る。

 

【原文】刳木為舟剡木為楫舟楫之利以濟不通致遠以利天下蓋取諸渙

 

【私的翻訳】
 木をえぐって舟を作り、木を削って舵を作る。こうして今まで河で通れなかった場所を渡れるように、遠くまで行けるようにして天下の役にたてるようになる事を風水渙という言葉とイメージに集約する。

 

【解釈】

漁業から農業へ、農業によって財を蓄えられるようになって、都市が発展する。都市が発展した事で遠征ができるようになる。

 

風水渙は、水の上に流れる風のようであり、ここでは水の上に木船を浮かべて遠くまで行っている様子がイメージできます。

 

本卦が風水渙であれば、之卦の6種、互卦、錯卦、綜卦も自ずから出て来ますので、

詳しい解釈はそれぞれで実践してみてください。