衆妙の門

できるだけ、日常に沿った具体的な易などの運用を記していこうと思っています。

恐れ

恐れと驚きは腎との相互影響の深い感情です。


外に現れ始めるのは、怒りや不満ですが、その前に恐れや驚きがある事は前項で書きました。


気の有様を考えてみると、恐れは心が縮んでいる姿、驚きは恐れほど縮みはしませんが、瞬間的にギュッと凝縮される姿です。


これを次への心のプラスと捉えれば、笑いや喜びと言う、良い変化に転換できますが、他への攻撃に転換してしまうと怒りになります。


つまり、この気の凝縮をどうするかは自分次第。


腎は隠す、溜め込むと言う外にジャンプの為の蓄えと考えると、新しく良い変化を導く事が出来るのではないでしょうか。





怒り

怒りは東洋医学では、肝の作用と考えます。


肝は腎によって支えられ、肝の将軍としての陣頭指揮をいかんなく発揮しています。


僕はこれを考える度に、


この人は何に怯えているのだろう?


と感じます。


肝は季節で言うと春、始めの時期と考えますが、樹木が芽を出す為には、種が必要です。


成長に必要な栄養が貯まった状態でなければ芽を出せません。


黄帝内経・素問では、天地の交わりは冬から語られる事が多く、冬があっての春の始まりがあると考えて書かれていると思っています。


感情では怒りが肝であり、春であるので、その背景に腎であり、冬である恐れや驚きが潜んでいます。


たまに、その人の成長を促すための怒りもありますが、それも来るはずの春が来ないことによる不安と恐れ(心と腎)の争いの結果です。


また、恐れが全くなければ自我が周囲にまで影響するほど、伸びている状態です。


先日、2つの新芽が隣り合って伸びていて、可愛い♩と言っていたと言う話を聞きました。その後、1つの新芽が成長が早く、もう1つの新芽に絡みつくと、仲が良いね♩と更に喜んでいたそうですが、実は成長が早かった方が太陽の陽射しを独り占めしようとした姿であり、もう1つの芽は腐って枯れてしまい、それを見ていた人はもう何も言わなかったと聞きました。


伸びた新芽にとっては、伸びやかな自我の発揚が、遅かった方にとっては生死を分ける結果となっています。


何事も、後々喜び(心の栄養であり、肝から心への繋がり)になるように上手く将軍を使える君主(心)を養っていきたいものですね♩



自戒を込めて…









形気の組み合わせ①

形の陰陽で書いて来た5種類は、あくまでも人をデジタルに分類したものですので、実際には更に様々な形があります。


たくさん書くとピッタリ当てはまる人が多くなる反面、内容が難しくなる為、周易の規則に則って、水と火が交わり、その中に木・金・土と言う形があると考えると、


1つの気が水火に分かれ(2)、木・金・土に発展し(3)、全部で5種類のバリエーションとしています。


ここに、気色と声がバランスよく配置されればその人は活き活きと過ごせる可能性が高くなります。


例えば、木の形を持つ人が火の気を出すと勢い良く燃え、天高く炎が上がりますが、すぐに燃料が枯渇しやすいと言う欠点があります。(木生火→火尅金→金尅木)


 金の気を出すとすぐ物足りなさを感じるかストレスが溜まりやすいのです。(金尅木)


気色で言うと、若干の赤みか青みがある時が一番調子が良く、赤みが出ると行き過ぎ、白みが出ると抑えすぎか溜め込みすぎを示しています。


音で言うと、ガラガラ声は気を出しすぎ、高すぎる声で響くものは抑えていますが物足りなさを感じます。


他の形もそれぞれ良い気色と声がありますが、


一番簡単な判断としては屈託のない笑顔が出せるかですね♩





形の陰と陽②

5つに分類した形には、それに相応しい生き方があります。


と言っても他の生き方が悪いわけではありません。


最大限能力を発揮できるのが、形に沿った生き方であり、それは生まれもった気の形が集約されたものです。


つまり形に沿った生き方であっても、やり過ぎ、やらな過ぎで心身には不調が起こります。


自分の一日に使える気の量を知る事が大切です。また成長期から壮年期までは、多少の無理は次への活力となったりしますので、自己判断はとても難しいものです。


例えば、木の形は横幅よりも身長が高く痩せて感じる人。エネルギーの不足であっても調和していても自分のエネルギーを節制している状態ですので、節制する事が心で納得できているのであれば調和と言えますが、そうでなければ、節制している姿は金の気(木が長方形だとすると、金は四角)として使っている状態です。金は木より強いため、抑え過ぎてしまいがちでストレスとなります。



逆に、過度にエネルギーを使うと火の気を使っている状態で、瞬時に燃えますが、次に使うエネルギーの転換ができず、飲食で補っても際限なく欲望の渦に巻き込まれます。


自分がどんな形かを知る事で、自分なりの節度を知る第一歩となります。

形の陰と陽①

陽は四方に気を張る為、四角をかたちどります。

 

陰は気が一点に集約する為、丸をかたちどります。

 

天は丸をかたちどり、地は四角をかたちどるのは、天地の陰陽が相交わっているからです。

 

一見逆に見える陰陽は、相交していることを示しています。

 

顔の場合は、四角が金の形と考えて、陰が盛んになるに連れて、丸みを帯び、陽が盛んになるに連れて上下に伸びた長方形となります。

 

陽の極みは火の形。陰の極みは水の形。

 

火      木      金     土     水

 

陽極←→ 安定←→  陰極

 

人体の中を気と言う、陽が動く事を考えると、

 

金形が上下左右に動く際には、均等に動ける可能性が高く、身体的な安定度も高まります。

 

火形は細く上下に伸びている為、反応が早く、敏捷性は高いのですが、その反面怒り易い性格が形成されやすくなります。

生長壮老死の五段階で考えると、生の時期には適した形ですが、形の成長が追いつかず、関節などに痛みを生じる可能性があります。

 

水形は丸い為、比較的反応が遅く、愚鈍な印象と実際となりやすい反面、より多く蓄える事ができる為、気を多く出す事が出来さえすれば大きな事も厭わずにサッとできる可能性があります。

 

バランスとしては、プラス面とマイナス面の違い、特性はあるものの、木形、金形、土形が良く、中でも金形は攻守ともに優れています。

 

木形は、火形のプラス面、マイナス面を少なくしたもの。

 

土形は、水形のプラス面、マイナス面を少なくしたものです。

 

顔の形を陰陽両儀から、四象五行に敷衍させた考え方です。

 

この中を気が動きますので、同量、同質の気であっても、形に与える影響は変わります。

 

そして、この形は気の動きが具現化された結果であって、本質は気の動きにあります。

 

形は過去をあらわし、気は現在と直近の未来をあらわしています。

 

つまり、形は大まかな参照。照らし合わせて、マイナス面とプラス面の行き過ぎを自重、反省する材料であり、拘りすぎないようにする事が大切です。

 

 

 

 

 

性と生

性命を五つの段階に分けるとすると、生長壮老死に区分できます。

その中で、本性が力の限り発揮され、後から形がついてくる、人生の最初の段階が生です。

 

季節で言うと春、1日で言うと早朝がこれにあたります。

 

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気を感じ、煉る為の最初の段階でもあります。

 

この段階では兎に角、吸収する。

 

知識と経験を蓄積し、それが血肉になる段階でもあります。

 

三つ子の魂百まで、と言われるように、この時期の知識や経験が、本性に大きく影響します。

 

これは、本性の外側を包む皮のようなもので、防御にも働きながら、次の段階の栄養にもなります。

 

気の盛衰で言うと、種から芽が出た状態なので、気は速く、大きく動き、形がそれについていければ順当に成長する上に能力を早く発揮します。言い換えると、気の動きに形がついていけなければ病となりますし、元々気の動きが遅く小さければ、形に栄養が流布できませんので、急激な形の異常が現れる段階でもあります。

 

春は、花を咲かせる為に、芽を出し、茎や双葉を出し、実る為に日夜吸収しながら、成長する段階ですし、1日の始めは目が覚めて、午前に使う気を取り入れる段階でもあります。

 

その為、春、朝に活動、思考をしっかりと行う事が、その日一日、その年一年、そして一生を実りあるものにできるか否かを決める事にもなります。

 

ただ、この段階で充分に吸収できなかったからと言って嘆く事はありません。

 

次の段階で、それを修正していけば、後々そういう事から教えてもらったのだと懐かしく、愛おしく感じられるでしょう。

 

 

 

 

生長壮老死

人の出生前とその要素。これが一旦定まったのが赤ちゃんで、ここから人の本性の旅が始まります。

 

人の太極と陰陽の変化は始めから終わりまでの間に、太極の大きさが、極小→小→大→小→極小と変化し、又無に帰ります。

 

東洋的にはその旅路を生長壮老死と五分割してそれぞれの特徴を示しています。

 

黄帝内経・素問、上古天真論篇第一には、

 

男性は8の倍数、女性は7の倍数で、この生長壮老死を語っていますが、これは古代から天は9、地は6と言う数字の基準があり、天地に挟まれた人は男性が陽なので上にあり、女性が陰なので下にある事から、7が女性、8が男性とされています。

 

結婚した際の力関係は、陽は下にある方が昇る能力があり、陰は上にある方が降りる能力があり、変化しながらも安定する為、地天泰の卦として、安定、安泰をしていると考えられていました。その為、陽である夫は上に位置すべきではあるがスタートは下、陰である妻は下で支えるのが本来の位置ですが、スタートは上なのです。この関係性を意識して、無意識に落とし込まないと陰陽離決します。

 

そして、そのそれぞれの生長壮老死の区切りがあります。

 

生では、本性と命が成熟し、性別に関係なく人としての土台を構築する段階。

 

長では、男女の性別がはっきりと現れ出し、人としても特性を伸ばす段階。

 

壮では、生長で培った気を最大限発揮する段階。

 

老では、成熟した知識と経験を伝える段階。

 

死では、人とは何かを後人に伝えながら、次の質的転換に向けて準備して、今世に悔いを残さないように、生を全うする段階。

 

人によって、この速度と波は異なります。